2019年07月29日

2019年 法悦 8月号

法 悦 8月号 827号

 死者たちよ 

 安らかに

 眠らないでください

 石棺を破って

 たちあがり

 飽食の惰眠に忘却する

 生きている亡者を

 はげしくゆすって 

 呼びさませて下さい

                 栗原貞子          


青色青光

 冒頭の詩は原爆詩人と呼ばれ、詩作を通して、死ぬまで核兵器廃絶を訴え続けられた栗原貞子さんの作品です。
  阪神・淡路大震災の朝、ドンと突き上げる揺れに飛び起きた人が多かったように、何かに驚いた時、思わず刮目させられる事があります。
 又その逆に、何事にも驚きが立たない、目覚めていても心のまなこは開かれていない、その様な事もあります。
 大本営発表のように、マスコミを通じ、日々流され続ける様々な虚偽や不確かな情報、そこに疑念が生じても、次第に無感覚になってしまい、真実を見るまなこが失われてしまう、実に危機はそこにこそ有ると言えるでしょう。
  おかしいと感じることも、おかしいと訴え続けないと、おかしいことがおかしくなくなり、当たり前になってしまうのです。
 「寝ている人の目を覚ますのは易しいが、目を開けている人の目を覚ますのは難しい」とは、妙好人と称された、堺の物種吉兵衛さんの言葉ですが、宗祖親鸞聖人の「大聖易往とときたまふ 浄土をうたがふ衆生をば 無眼人とぞなづけたる 無耳人とぞのべたまふ 『浄土和讃』」のお言葉を自身の生活の中で頂き、折々に味わい続けて血肉とまでなった時、栗原さんや吉兵衛さんのように、確かな智慧の眼が開かれてくるのです。
住職日々随想
 今や日本を代表する文化にまで育った、アニメーションを制作する会社が放火され、34名の若い人たちの命が奪われ、さらに34名の方々が、重軽傷を負わされるという、許し難い、痛ましく残忍な犯行が行われました。
 この事件の第一報を耳にしたとき、強く思い起こされたのは、芥川龍之介の短編小説「地獄変」を読んだときの戦慄です。
 その昔、当代一と自他とも認められている、良秀という名の絵仏師(仏画や仏教にまつわる絵を描く画家)がおりました。この男、才能には恵まれていたのですが、性格が悪く、容貌も猿に似て、見るからに卑しげだったので、多くの人から「さる秀」などと揶揄され、嫌悪されておりました。が、この男権勢並ぶ者のない大殿様にその才を認められ、地獄変の絵を描くように命ぜられました。
 描き進めるうち、思うように迫真の絵にならないと思い詰め、あるとき大殿様に「日頃お使いの牛車に火をかけて欲しい、さらに願いが叶うなら、その牛車に上臈の女房を乗せて欲しい。そうすればそれを見事写し取って、地獄に落ちる火の車が描けるに違いない。」と無理なお願いを致しました。
 最初戸惑っていた大殿様も、この申し出を受けられました。
 さて、この良秀、女房には先立たれていたのですが、まるで父親とは正反対の器量良く、気立ての良い一人娘がおり、これを溺愛しておりました。
 ところがこの娘、大殿様のお屋敷に仕えていたのですが、彼女に手を出そうとした大殿様を袖にしてしまったと、これが物語の伏線です。
 かくして、いよいよ牛車に火がかけられました。ところが、驚いたことに、その中には手足を縛られた我が愛娘が乗せられていたのです。
良秀はすぐ助けようとしますが、はたと体の動きを止め、炎熱地獄に身もだえ、生きながら焼かれていく娘を、食い入るように見つめ続けました。
 そのすさまじい地獄変の絵を仕上げ、彼は自ら命を絶った、という物語です。
 そこに描かれていたのは、芸術家の持つ深い業と、怨嗟に囚われた心の底知れぬ恐ろしさでした。
 今回の犯罪は到底許されるべくもない残酷なものです。しかし、人は巡り合わせで、とんでもない事をしでかすことすら有るのです。
 親鸞聖人は「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」と心の善し悪しでなく、縁次第で何をしでかすか分からぬ我ら凡夫、その凡夫は、ただ阿弥陀仏の大慈大悲のご本願を憶念しつつ、念仏申すべしと。ご教示下さるのです。


八月の行事
1 日(木)午前10時半〜ピラティス

4 日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕

6 日(火)午後2時〜 囲碁教室

盂蘭盆会法要
14日(水)両日とも午後1時・3時・7時半
15日(木)*ご法名書き出してお持ちください。

22日(木)午後2時〜仏教民謡踊りの会

23日(金)午後2時〜仏教コーラスの会

29日(木)午前10時半〜
        ピラティス
九月の行事
3 日(火)午後2時〜 囲碁教室

5 日(木)午前10時半〜ピラティス

10日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

19日(木)午前10時半〜ピラティス
20日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会 

21日(土)午後2時・午後6時 
  秋季彼岸永代経法要・仏教コーラス発表会
            ご法話 阿倍野即応寺 藤井善隆師         
        お抹茶・お斎接待有ります
26日(木)午後2時〜仏教民謡踊りの会

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2019年06月30日

2019年 法悦

法 悦 7月号 826号


 みほとけの

 願いの世界は

 極 楽

 我ら凡夫の

 願う世界は

 欲 楽


青色青光

 ご葬儀の折り、弔電披露で、「天国
(天上界)で安らかに、どうか私たちをお見守
りください。」などと述べられることがよくあります。
 世界中にはさまざまな国があり、またそれぞれ独自の宗教や文化を持っていますし、日本国内に限っても、ひとくくりにはできない多様性があります。
 しかし、こと仏教におきましては、天上界は人間的欲望の延長線上にある、さまざまな思いの満たされる世界。そうではあっても、いずれ「天人五衰(頭の上の花飾りがしぼむ。羽衣が、ごみや垢で汚れてくる。脇の下に汗をかき、目がしばしばしてくる。御殿にいるのが苦痛になる。)」といわれる時の来る、「迷いの六道」の一つと捉えています。
 そして、その衰えに伴う苦しみは、地獄の責め苦の十六倍とも説かれています。まさに、有頂天にあるものが、その立場を失った時に味わう苦しみとも等しいものでしょう。
 涅槃経に「諸楽断ずるがゆえに大楽を得る」と説かれています。眼前の快楽や欲望の充足を求めるところに、安らぎはなく、そういう楽を求めないところにこそ、心安らぐ真実の楽があると、お示し下さっているのです。
 そのみ教えを鏡とすれば、我ら凡夫は自力によっては救われがたい、まこと愚かな身と知らされます。


住職日々随想

 またもや川崎市で連続児童殺傷事件が発生しました。二人の尊い命が奪われ多数のけが人を出し、容疑者もその場で自死するという痛ましいものでした。
 容疑者が死亡してしまったので、犯行に至る経過や動機をあきらかにすることが困難になってしまいました。
 その事件から程なくして起こった、元厚生労働省事務次官による長男殺害事件も、世間に大きな衝撃を与えました。
 両事件に共通する背景に、引きこもりの問題があると指摘する声が、マスコミなどを通じて大量に流されました。引きこもる人々があたかも犯罪予備軍ででもあるかのような、短絡的な見方は偏見を助長するだけの、全く誤ったとらえ方であることは、はっきりとおさえておく必要があります。
 しかし、事件を通じて露わになってきた、老齢の親と、長期にわたって引きこもる四、五十代の子どもの、いわゆる8050問題に、世間の関心が集まったことには、意味がありました。
 学校で受けたいじめなどが原因で不登校になってしまった若者たち。
 バブル崩壊後の就職超氷河期に、就職できなかったいわゆるロスジェネ世代の若者たち。
 彼らの多くは世間的によい学校に入って、良い会社に入って、それが幸せと思い育ってきて、いざ二十歳くらいでいきなりはしごを外された、そんな若者たちが引きこもり、その長期化するなか、抜け出す糸口を見失ってしまっている、そんな深刻な問題が浮き彫りにされてきたのです。
 また引きこもっている人は、「甘えている、怠けている」と言われたりもしますが、当事者たちは自己肯定感を持つことができず、精神的に激烈な苦しみを感じ続けて、葛藤し、もがき続けていることを見逃してはならないでしょう。
 今ひとつ指摘できることは、引きこもっているのではなく、引きこもり=良くない、という世間の見られ方によって「引きこもらされている」という側面のあることです
 じつは彼らの問題と言うよりも、この社会に住む私たちが、生きづらさに無感覚になってしまい、生産性の有無などによって、企画に当てはまらない人を排除し、再チャレンジすることのハードルを高くしてしまっているのではないでしょうか?
 蓮如上人のご遠忌テーマ「バラバラで
一緒、ちがいを認める世界の発見」を、
今一度問い直したいことです。



七月の行事

2 日(火)午後2時〜 囲碁教室

11日(木)午前10時半〜ピラティス

9 日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

18日(木)午前10時半時〜ピラティス 

19日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会

20日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
         ご法話 専光寺 島 洸陽師
25日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会

*七月末日まで、本堂大屋根修復工事中ですので、
   門徒会館(仮御堂)にお越しください。すべてイス席です。

八月の行事

1 日(木)午前10時半〜ピラティス

4 日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕

6 日(火)午後2時〜 囲碁教室

 盂蘭盆会法要
14日(水)
       両日とも 午後1時・3時・7時
15日(木) ご法名書き出してお持ちください。

22日(木)午後2時〜仏教民謡踊りの会

23日(金)午後2時〜仏教コーラスの会

29日(木)午前10時半〜
        ピラティス

posted by ansenji at 00:54| Comment(0) | 法悦

2019年05月28日

法悦 2019年 6月  825号



骨のうたう        竹内浩三


 戦死やあわれ

 兵隊の死ぬるやあわれ

 とおい他国で ひょんと死ぬるや

 だまって だれもいないところで

 ひょんと死ぬるや

 ふるさとの風や

 こいびとの眼や

 ひょんと消ゆるや

 国のため

 大君のため

 死んでしまうや

 その心や


青色青光

 日本とロシアの微妙な関係のなか、北方四島の元島民の墓参を目的として、続けられてきた北方四島ビザなし交流事業、その歴史の中でようやく築き上げられてきた、元島民と現地に暮らす第二、第三世代のロシアの人々との、ガラス細工のような相互理解をぶち壊すような戦争容認発言が、同行した若い国会議員の口から飛び出しました。
 一応、謝罪はしたようですが、それで済ませられる事とも思えません。
 閣僚や高級官僚から大企業まで、至る所で発覚する不正やフェイクニュース、まるでこの国のモラルの底が抜けてしまったかのような昨今の世相を見るにつけ、大人の姿に未来を観る子供たちへの悪影響が案じられてなりません。
 上の詩は1945年23歳の若さで、フィリピンにおいて戦死(戦病死?)し、遺骨すら戻らなかった、芸術と映画を愛した学徒兵の詩の一部です。
 心ならずも修羅のちまたで命奪われた、若者たちの無念を少しでも想像できるなら、先のような発言の出ようはずもありません。
 仏説無量寿経下巻の中に「國豐民安。兵戈無用。」と、真実の国、浄土は武器も軍隊も用いる事は無い、だからこそ、国は豊かに民は安んずるのだと説かれています。心したいことです。


住職日々随想

 平成から令和へ、天皇代替わりに伴う諸々も一段落致しました。
 過熱気味の報道合戦には、些か食傷気味ですが、良きにつけ悪しきにつけ、日本人ほどお祭り騒ぎの好きな国民はありません。勿論、象徴天皇制を憲法に定める我々が、奉祝の意を表すことは至極まっとうなことです。
 しかし、その中で見えてきた様々な課題・問題も、流してしまうことなく、国民一人一人の問いとして、見続けていく必要があるのではないでしょうか。
 マスコミ等では、皇位継承の問題ばかりがクローズアップされていますが、天皇制のありよう、わけても特権は与えられてはいても、基本的人権は与えられていない現状、今後行われる様々な宮廷祭司と国家行事との線引きをどうするのか、等々、誰れにとっても無縁ではいられない、課題問題が山積しています。
 それにつけてましても、時代が変わるとは一体どういうことなのでしょう?
 昭和という時代がどういう国民的意味を持つのか、それは平成の三十一年間を経て、ようやく明らかになってきたと言えると思います。
 いま、令和の幕開けに当たって平成とはどういう時代で、令和とはこういったことで一線を画している、などと言うことは時期尚早で、未だ語ることなどできませんし、時代の転換点をどう見るか、そこには時代を画するエポックとも言うべきものがあってこそ、と思われるのです。
 今ひとつ危惧されることは、元号が変わり時代も変わった、これでみそぎは終わったなどと、民主主義を根幹から揺るがすような様々な改ざんや不正、隠蔽等もお祭り騒ぎのなか、忘却の彼方に追いやられようとしている、かのようにも見えることです。
 宗祖親鸞聖人の時代はまさに時代の転換点、貴族支配の平安時代から、源平動乱を経て鎌倉武家政権の誕生によって、世の価値観が大きく変わりました。
 ある意味その荒々しい時代の風潮が、人間から虚飾のからをはぎ取って、むき出しのひとの身が厳しく問われる、そういう時代であったと言えるでしょう。
 親鸞聖人は常のおおせに「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもって、そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします」と時代社会と、そこに身を置く凡夫の実相を示し、如来のかたより賜る念仏のみがこの世を超えて貫く
真実とおさとしくださいます。

六月の行事
4 日(火)午後2時〜  囲碁教室

11日(火)午後2時〜  門徒女性聞法の集い

15日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
          ご法話 光照寺 墨林 浩師
20日(木)午前10時半〜ピラティス

21日(金)午後2時〜  仏教コーラスの会

22日(土)午後2時〜  第五組「同朋の集い」
                 於、難波別院        ご講師 京都教区 法傳寺 長田 浩昭師

27日(火)午後2時〜  仏教民謡踊りの会

30日(日)午前11時〜 第5回女性の集い
            「紙芝居」と懇親会 
七月の行事
2 日(火)午後2時〜 囲碁教室

11日(木)午前10時半〜ピラティス

9 日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

18日(木)午前10時半時〜ピラティス 

19日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会

20日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
         ご法話 専光寺 島 洸陽師
25日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会

*現在、本堂大屋根ご修復中ですので、門徒会館(仮御 堂)にお越しください。すべてイス席です。

posted by ansenji at 20:38| Comment(0) | 法悦