2019年05月28日

法悦 2019年 6月  825号



骨のうたう        竹内浩三


 戦死やあわれ

 兵隊の死ぬるやあわれ

 とおい他国で ひょんと死ぬるや

 だまって だれもいないところで

 ひょんと死ぬるや

 ふるさとの風や

 こいびとの眼や

 ひょんと消ゆるや

 国のため

 大君のため

 死んでしまうや

 その心や


青色青光

 日本とロシアの微妙な関係のなか、北方四島の元島民の墓参を目的として、続けられてきた北方四島ビザなし交流事業、その歴史の中でようやく築き上げられてきた、元島民と現地に暮らす第二、第三世代のロシアの人々との、ガラス細工のような相互理解をぶち壊すような戦争容認発言が、同行した若い国会議員の口から飛び出しました。
 一応、謝罪はしたようですが、それで済ませられる事とも思えません。
 閣僚や高級官僚から大企業まで、至る所で発覚する不正やフェイクニュース、まるでこの国のモラルの底が抜けてしまったかのような昨今の世相を見るにつけ、大人の姿に未来を観る子供たちへの悪影響が案じられてなりません。
 上の詩は1945年23歳の若さで、フィリピンにおいて戦死(戦病死?)し、遺骨すら戻らなかった、芸術と映画を愛した学徒兵の詩の一部です。
 心ならずも修羅のちまたで命奪われた、若者たちの無念を少しでも想像できるなら、先のような発言の出ようはずもありません。
 仏説無量寿経下巻の中に「國豐民安。兵戈無用。」と、真実の国、浄土は武器も軍隊も用いる事は無い、だからこそ、国は豊かに民は安んずるのだと説かれています。心したいことです。


住職日々随想

 平成から令和へ、天皇代替わりに伴う諸々も一段落致しました。
 過熱気味の報道合戦には、些か食傷気味ですが、良きにつけ悪しきにつけ、日本人ほどお祭り騒ぎの好きな国民はありません。勿論、象徴天皇制を憲法に定める我々が、奉祝の意を表すことは至極まっとうなことです。
 しかし、その中で見えてきた様々な課題・問題も、流してしまうことなく、国民一人一人の問いとして、見続けていく必要があるのではないでしょうか。
 マスコミ等では、皇位継承の問題ばかりがクローズアップされていますが、天皇制のありよう、わけても特権は与えられてはいても、基本的人権は与えられていない現状、今後行われる様々な宮廷祭司と国家行事との線引きをどうするのか、等々、誰れにとっても無縁ではいられない、課題問題が山積しています。
 それにつけてましても、時代が変わるとは一体どういうことなのでしょう?
 昭和という時代がどういう国民的意味を持つのか、それは平成の三十一年間を経て、ようやく明らかになってきたと言えると思います。
 いま、令和の幕開けに当たって平成とはどういう時代で、令和とはこういったことで一線を画している、などと言うことは時期尚早で、未だ語ることなどできませんし、時代の転換点をどう見るか、そこには時代を画するエポックとも言うべきものがあってこそ、と思われるのです。
 今ひとつ危惧されることは、元号が変わり時代も変わった、これでみそぎは終わったなどと、民主主義を根幹から揺るがすような様々な改ざんや不正、隠蔽等もお祭り騒ぎのなか、忘却の彼方に追いやられようとしている、かのようにも見えることです。
 宗祖親鸞聖人の時代はまさに時代の転換点、貴族支配の平安時代から、源平動乱を経て鎌倉武家政権の誕生によって、世の価値観が大きく変わりました。
 ある意味その荒々しい時代の風潮が、人間から虚飾のからをはぎ取って、むき出しのひとの身が厳しく問われる、そういう時代であったと言えるでしょう。
 親鸞聖人は常のおおせに「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みなもって、そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします」と時代社会と、そこに身を置く凡夫の実相を示し、如来のかたより賜る念仏のみがこの世を超えて貫く
真実とおさとしくださいます。

六月の行事
4 日(火)午後2時〜  囲碁教室

11日(火)午後2時〜  門徒女性聞法の集い

15日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
          ご法話 光照寺 墨林 浩師
20日(木)午前10時半〜ピラティス

21日(金)午後2時〜  仏教コーラスの会

22日(土)午後2時〜  第五組「同朋の集い」
                 於、難波別院        ご講師 京都教区 法傳寺 長田 浩昭師

27日(火)午後2時〜  仏教民謡踊りの会

30日(日)午前11時〜 第5回女性の集い
            「紙芝居」と懇親会 
七月の行事
2 日(火)午後2時〜 囲碁教室

11日(木)午前10時半〜ピラティス

9 日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

18日(木)午前10時半時〜ピラティス 

19日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会

20日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
         ご法話 専光寺 島 洸陽師
25日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会

*現在、本堂大屋根ご修復中ですので、門徒会館(仮御 堂)にお越しください。すべてイス席です。

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2019年05月01日

法悦 2019年5月

      法 悦 5月号 824号




  ただなれど


  ただになるまで


  ただならず


  ただになりえて


  ほんにただただ
                    





青色青光


 宗祖親鸞聖人は、法然上人からいただかれた「ただ念仏して、弥陀に助けられまいらすべし。」のお言葉を、終生大切に憶念し続けられました。
 俺が我れがという、自力の執着の捨て難さに絶望し、その絶望の底を打って、まなこの開かれたところに、初めてうなづかされた真実が、まさに「ただ念仏して」と念じ続けてくださる、阿弥陀仏の広大無辺なご本願の世界でした。
 それこそが釈尊をして、目覚めたひと「ブッダ」たらしめた願いであるとともに、その願いに順じて歩むところに、一切衆生のよって立つべき「仏道」があると明らかにされたのが、七高僧をはじめとする浄土の祖師方です。
 そして祖師方の伝統を「ただ念仏して」と確かめられたのが法然上人であり、さらにその念仏を、仏恩を憶念し続ける「報謝の念仏」といただかれた方が宗祖親鸞聖人なのです。
 仏説阿弥陀経に「難中の難これに過ぎたるなし」この「ただ念仏」が、いかに難いか、そして、ただ念仏となりえたときに開かれる世界のなんと広大無辺なことか、ただただ仏恩報謝しかありません。


住職日々随想

 「末代無智の、在家止住の男女たらんともがらは…」これは蓮如上人の書かれたお手紙、御文の五帖一通目、冒頭のお言葉です。
 先日、あるお宅の月命日で、最後にこの御文を拝読させていただきました。
 すると、そのお宅のご主人が「この御文は、在家の我々門徒を見下して、書かれているんやないですか?」と、ややきつい口調で尋ねられました。
 なるほど、そういう風に聞こえることもあるのか、これはきちんとお伝えしなければと、以下のようなお話をさせていただきました。
 末代とは、お釈迦様がお隠れになって、最初の五〇〇年間は、み教えを守り行じてお悟りを得るものがある正法の時代。そして、行ずるものはあるが悟りに至るもののない像法の時代が一〇〇〇年、そして、そのあとに来るのが、行ずる人もお悟りに至る人もいなくなるという末法の時代、いわゆる末代です。
 浄土真宗は生活者の仏教、教えをお伝えする立場を僧侶、一般を在家と名付けただけで、ともに御同朋御同行、分け隔てはないのです。
 そして、無智ということは、知識が乏しいということではなく、まさに智慧が浅いということをおっしゃっているのです。
 我々現代人は、昔の人と比べれば、いっぱしの知識人であるかのように思っていますが、およそ知識は「身についたもの」認知症にでもなれば、なくなってしまうこともあります。
 それに対して智慧は「身に備わるもの」日々の生活の中ではぐくまれ、やがてはその方の人となりとまで成っていくもので、どのような日常を送っておられるかで決まってくるものでしょう。
 お釈迦様は、厳しいカースト差別のある古代インドで、「ひとは生まれや育ちによって、卑しい尊いが決まるのではない。人はその行いによって卑しい尊いが決まるのだ。」と、いのちの平等を説き、各々わが身の行いに、どう対峙していくのかを明らかにされたのです。
 蓮如上人の御一代記聞書には、ある人が「私の心はかごに水を入れるようなものです。ご法座の席ではありがたく尊く思うのですが、やがてはいつもの迷い心に返ってしまいます。」と言うと、蓮如上人は「そのかごを水につけよ」と、わが身を仏法の水につけておきなさいと、諭しておられます。
 まさに念仏と聞法の生活のなかで、自然に身に備わる信心の智慧が徳となって、真に心豊かな仏恩報謝の歩みを送ることができるのです。



五月の行事

7 日(火)午後2時〜  囲碁教室

10日(金)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

11日(土)午前9時〜12時 大阪校区同朋大会
                   ご講師 真城 義麿師
16日(木)午後2時〜  仏教民謡踊りの会

18日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
          ご法話 円明寺 島 章師23日(木)午前10時半〜ピラティス

28日(火)午後2時〜 仏教コーラスの会

30日(木)午前10時半〜ピラティス

六月の行事

4 日(火)午後2時〜  囲碁教室

11日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い

15日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会聞法会
          ご法話 光照寺 墨林 浩師
20日(木)午前10時半〜ピラティス

21日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会

27日(火)午後2時〜 仏教民謡踊りの会

29日(土)午後2時〜 第五組「同朋の集い」
       於、難波別院 
    ご講師 京都教区 法傳寺 長田 浩昭師*「女性の集い」16日か23日の日曜日に、開催 予定です。詳細は決まり次第お伝えいたします。
*現在、本堂大屋根ご修復中ですので、門徒会館(仮御 堂)にお越しください。すべてイス席です。

posted by ansenji at 00:04| Comment(0) | 法悦