法悦 6月号 849号
世人、薄俗にして
共に不急の事を諍う。
この劇悪極苦の中において
身の営務を勤めて、もって自ら給済す。
尊もなく卑もなし。
貧もなく富もなし。
少長男女共に銭財(せんざい)を憂う。
有無同然なり。憂思適(まさ)に等し。
屏営愁苦して、念いを累ね慮りを積みて、
心のために走(は)せ使いて、
安き時あることなし。
田あれば田を憂い
宅あれば宅を憂う。
田なければ
また憂えて田あらんと欲い
宅なければ
また憂えて宅あらんと欲う。
仏説無量寿経 下巻
青色青光
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、
多くの都道府県での緊急事態宣言が再発され、
不要不急の外出は控えるよう呼びかけられています。
不要不急とは、急ぐべき事とは、何でしょう?
お釈迦様は私たち凡夫の有り様を、目先の生活に汲々とし、
有れば有ったで、無ければ無いで「共に不急の事」を諍って、
真に急ぎ求めねばならぬものを求めず、むさぼり争い続ける
「安き時」あることのない生活だ、と明らかにしておられます。
災害の絶え間のない日本、命の危機は常に隣り合わせにある
ことが、繰り返し露わになり、たびたび思い知らされますが、
私たち凡夫はすぐにその事実に目を背け、日頃の生活の中に忘却
していきます。
明治の先覚、清沢満之師は弟子の「先生、死ぬ気になれば
何でも出来るもんですね。」の言葉に、即座に「死ぬ気にならずして
何が出来ますか。」と答えられたということです。
いのちの問題が真にわが身の事実となったとき、
初めて、握りしめていたものを棄てきって、いのちいっぱい、
生ききる事が出来ると知らされるのです。
住職日々随想 ー緊急事態宣言と緊急事態条項ー
なかなか収束の見通しの立たない
このコロナ禍の中、国会において
憲法改正の手続きの一環として、いわゆる国民投票法(日本国憲法の
改正手続に関する法律)改正案が、連休明けに採決されました。
こういう大事な法案がどさくさに紛れて、決められる事に不安を
覚えずにはおれません。
緊急事態宣言が再発され、様々な制限が私たちの生活に加えられて
いますが、オリンピックパラリンピック開催にこだわるあまり、
医療体制の立て直しや、ワクチンの確保と接種の迅速化など、
本当に急ぐべきことが後手後手に回ってしまっている現状を、
憲法に「緊急事態条項」が無い不備のせいだと、意図的に問題を
すり替える意見も見られました。
ずいぶん以前、ご本山で毎年夏休みに行われている「全国児童
夏の集い」という事業に、スタッフとして二十年程関わっていました。
或る年、子供たちがもうすぐ全国から数百名やってくる、その
直前まで、思うように準備が進まず、スタッフの誰もがイライラし、
中には口論しだすものまで出てくる始末。
そんな時、リーダーの方がすっくと立ち上がって「皆さん
時間がありません、時間がありませんから…ゆっくりいたしましょう!」
と獅子吼され、殺気立っていた空気が一瞬にして解け、誰もが我を取り
戻しました。
その後、作業は速やかに進み、子供たちの受け入れ準備を間に合わせる
事が出来ました。
本来、緊急を要する事態であればあるほど、拙速に進める事は、
厳に戒めなければなりません。殊に「緊急事態条項」には、立法権の
行政府への委任という、戦前の治安維持法やナチスの全権委任法にも通じる
ような、独裁を生みだす危険性が色濃く孕まれています。
蓮如上人のお言葉に、仏法こそは後生の一大事、「仏法には明日と申す事、
あるまじく候う。仏法の事はいそげ、いそげ」と、それは誰もが生死無常の
世を生きる中、真に急がなければならないものは何なのか、まさにその事を
明らかに示して下さっているのです。
坊守便り ー安泉寺同朋会ー
安泉寺には同朋の会がござい
ます。今から約六〇年前、当時の宗務総長であった訓覇信雄先生
が親鸞聖人の、み教を確かめ直し「いのち」の大切さと、真宗門徒が
共に御同朋・御同行と睦み合う同朋社会の実現を願い、各末寺に同朋の会
を結成することを提唱されました。
この要請を勝縁として、宗祖親鸞聖人七〇〇回御遠忌を機に、当寺に
「安泉寺同朋の会」として正式に誕生し、同時に同朋の会会員をはじめと
するご門徒の皆様と共々に、親鸞聖人七〇〇回御遠忌を厳修致しました。
当時の記録写真を見ますと、山門前に受け付けを設け、背広姿で並んで
座る役員の方々、正装の上から割烹着を着けて立ち働く女性部の皆さんの
姿があり、ボーイスカウト・ガールスカウトの子供達も参加していました。
それ以降、安泉寺同朋の会を中心として、毎月の定例聞法会、春・秋の
彼岸会永代経盂蘭盆会、報恩講等を協力して勤めています。
また、新年会・バス旅行などでは共に楽しく親睦を深めています。
時は流れ、世代交代しながらも、変わらぬ皆様のご協力に感謝の思いを
深めております。
*同朋の会はこの度、役員交代致しました。新役員は会長に三木幸男様、
副会長に稲垣信夫様、会計に貝増克之様、会計監査に竹中公彦様・
大橋了巳様です。どうぞ宜しくお願致します。又、梅谷晴男様をはじめ
、旧役員の皆様、ご尽力誠に有り難うございました。
六月の行事
24日(木)午前10時半〜ピラティス
午後2時〜仏教民謡踊りの会
七月の行事
10日(土)午後2時〜祥月講・同朋の会
15日(木)午前10時半〜ピラティス
29日(木)午前10時半〜ピラティス
午後2時〜仏教民謡踊りの会
*6月の同朋の会は中止致します。7月につきましては改めてご案内致します。
2021年06月05日
2021年6月
posted by ansenji at 23:56| Comment(1)
| 法悦
御世話になっております落合の姪で、御座います。
前回お伺いをいたしました時も、ワクチンが広まり、皆が、少し安堵した頃。大阪にしては、人通りも少なく、閉店が見られ、昔の活気に戻るのは、まだまだ、先になりそうだと予感をしていた頃でした。
その後も、落合家の件で、代理人の方と、度々お話を致す機会があり、故人の真意も、私が決める所ではない事を強く感じ、控える立場は、変わりません。そんな中、法悦や、盂蘭盆会のご案内を頂戴し、感謝申しあげており、時は、過ぎました。
浄土真宗は、他力本願とは、申せども、皆様と数々のお話をする中で、悩みも多く、体が、三つあれば良かったと思っております。
今回の緊急事態宣言下では、長引く事からの近隣の皆様の不安な面持ち、疲労感、阪神百貨店様のあり得ないクラスター、五輪で増加した感染者数等からも、人一人の身柄と言え、社会への負担を考慮すれば、今回は、自宅で、過ごさせて頂いた方が、良いのではないかと考えております。
大変勝手では、御座いますが、当方で、ご用意を致しておりましたお供えを発送させて頂きたいと存じますが、宜しいでしょうか。
暑さ厳しき折、皆様お元気で、お過ごし下さいませ。 山根