二週間以上続いた長雨、そして列島を縦断した超大型台風21号襲来といった悪天候のさなか、衆議院総選挙が実施され、野党の足並みの乱れもあり、結果、与党の圧勝で終わりました。 短期間の選挙戦ではありましたが、つくづく悲しく感じさせられましたのは、他党批判に終始する党首や候補者のあまりの多さ、マスコミやネット空間を飛び交う、野卑で憎悪むき出しの発言を含めた、日本の言論空間全体の質的劣化ということです。
世界的右傾化の中、ヘイトスピーチに代表されるような、内向きで排他的な意見が、臆面も無く叫ばれるようになってきました。こういった流れの行き着く先として、大いに懸念されるのは、新たなファシズムの誕生です。
ヒットラーは突如現れたのではありません。ナチスの台頭を許したのは、「ドイツ人のパン屋さん」という看板を掲げた店が現れた、そんな些細な出来事が始まりと言われますが、その後、急速に広まった「第一次世界大戦の敗北を含めたドイツ民族の不遇は、ユダヤ人やマイノリティーのせいだ、彼らを排除しろ」という憎悪感情の蔓延を、一般民衆が許したからに他なりません。
仏教の中核を成す思想に、中道ということがあります。これは、何も対立する二つの事柄の間をとって、妥協するというようなことではありません。
物事をそのまま、有る無しなどの二項対立のどちらに対する執着も持たず、背後にある真実の相を把握しなければ、人間としての真の生きがいを体得することは出来ないという立場(空観(くうがん)です…が、およそ偏りのない心など持たないわが身です。
凡夫の身の事実としては、阿弥陀仏をたのむ南無のところに自然に開かれてくる、その立場に立ち続ける他ないのです。しかし、実はそこにおいて初めて、真実のお育てを賜ることとなるのです。
思想家の内田樹氏は、「日本の政治文化が劣化したというのは、シンプルでわかりやすい解をみんなが求めたせいなんです。正しいか間違っているか、敵か味方か、AかBか、そういうような形で選択を続けていった結果、日本の政治文化はここまで痩せ細ってしまった。
それをもう一度豊かなものにするためには、苦しいけれども、理解も共感も絶した他者たちとの”気まずい共存”を受け入れ、彼らを含めて公共的な政治空間を形成してゆくしかない。」
と知見を述べておられます。
また、ヴォルテールの言葉にも「私は君の意見に反対だ。しかし、君がそれを言う権利は、命をかけて守ってみせる。」と、共に念仏の
信に生きる者として、もって瞑すべきこと
と思われます。
11月の行事
1 日(水)午前10時半〜 ピラティス
5 日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕
報 恩 講
12日(日)午後2時〜 大逮夜
夕方6時〜 御伝鈔拝読
13日(月)午後2時〜 結願日中
ご法話 泉大津 南溟寺 戸次公正師
(お抹茶・お斎のご接待有ります。)
17日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会
30日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会
十二月の行事
2 日(土)午後4時〜 祥月講・同朋の会
ご法話 専光寺若院 島 大史師
3 日(日) 日帰りバスツアー
鷺の森別院・根来寺・九度山
12日(火)午後2時〜 門徒女性聞法の集い
浄土和讃28
14日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会
15日(金)午後2時〜 仏教コーラスの会
17日(日)午後2時〜 おみがき清掃ご奉仕
年末懇親会
*11月の門徒女性聞法の集いはお休みです。
*本堂内すべて椅子席、冷暖房完備、どなた様もお気軽に。
2017年11月01日
11月住職日々随想
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| 住職日々随想
2017年09月29日
10月住職日々随想
住職日々随想
8月29日の早朝、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
の弾道ミサイルが発射され、北海道の襟裳岬上空を通過し、
岬の東2.000キロメートルの太平洋上に落下しました。
国際世論を無視しての、相次ぐ同国による核実験やミサイル発射には、
憤りを禁じ得ません。
知人の住職の奥さんの実家が襟裳岬に近く、たまたま藪入りで
里帰りしていた時、このミサイル発射に遭遇されたそうで、
実家の小学校2年生の甥が、不気味に鳴り響くJアラートに、
「僕たちいったいどうなるの?もう終わりなの?」と泣きじゃくって、
なかなか泣き止まなかったと、その様子を怒りを込めて知らせて
こられたそうです。
Jアラートに用いられている不協和音には、おそらくそういう
意図を持って作成されているのでしょうが、人の不安をより一層かき立てる、
不快極まりない響きがあります。
地上を走る交通機関には特段の配慮もなく、地下鉄を止めるという
ちぐはぐな対応にも疑問符が残りますし、何より最も脆弱かつ危険な
原発の運転を、停止しようともしないことには、何か別の意図でもあるのでは
と疑ってしまいます。
確かに我が国と北朝鮮の政治状況には、予断を許さぬものがありますが、
国連演説をはじめとする現政権の、武力対立をも辞さぬかのような
敵愾心むき出しの対応は、平和国家として歩んできた我が国の、
戦後70年の歴史を軽んじているようで、看過しえないものがあります。
加えて、米国は自国のアジア戦略の一環として、日米地位協定を根拠に、
日本を米国の軍事拠点として温存するべく、1953年の朝鮮戦争の休戦後も、
北朝鮮の再三にわたる和平協議の申し出を無視して来ました。
何故なら、国連軍?を称する米軍は、米朝間の和平協定が締結されれば、
速やかに日本から撤収しなくてはならなくなるからです。
今、米国の世界戦略の歯車として振る舞うことが、本当にこの国と、
未来の子ども達に対する誠実な態度なのか、よくよく熟考する必要があるのです。
過ちを繰り返してきた20世紀、私たちは深い懺悔の心をもって、
道を誤らぬようにしなければなりません。
わけても仏教には、過去から現在を問い、未来から現在を見て、
現在を生きるという、未来の先取りから今を位置づける、深い知恵があるのですから。
過去を変えることは出来ないが
意味を変えることは出来る。
ひとは事実で生きているのではない
意味で生きているのだ。
十月の行事
4 日(水)午前10時半 ピラティス
13日(金)午後1時 仏教コーラスの会
17日(火)午後2時 門徒女性聞法のつどい
浄土和讃 27
19日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
21日(土)午後4時 祥月講・同朋の会
ご法話 円龍寺ご住職 門井 斉師
十一月の行事
1 日(水)午前10時半〜 ピラティス
5 日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕
報 恩 講
12日(日)午後2時〜 大逮夜
夕方6時〜 御伝鈔拝読
13日(月)午後2時〜 結願日中
ご法話 泉大津 南溟寺 戸次公正師
(お抹茶・お斎のご接待有ります。)
16日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会
27日(月)午後2時〜 仏教コーラスの会
*11月の門徒女性聞法の集いはお休みです。
*12月3日(日)秋の日帰りバスツアーを企 画しております。
詳細は後日お知らせいたしますが、どうぞご予定下さいませ。
*本堂内すべて椅子席、冷暖房完備、どなた様もお気軽に。
8月29日の早朝、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
の弾道ミサイルが発射され、北海道の襟裳岬上空を通過し、
岬の東2.000キロメートルの太平洋上に落下しました。
国際世論を無視しての、相次ぐ同国による核実験やミサイル発射には、
憤りを禁じ得ません。
知人の住職の奥さんの実家が襟裳岬に近く、たまたま藪入りで
里帰りしていた時、このミサイル発射に遭遇されたそうで、
実家の小学校2年生の甥が、不気味に鳴り響くJアラートに、
「僕たちいったいどうなるの?もう終わりなの?」と泣きじゃくって、
なかなか泣き止まなかったと、その様子を怒りを込めて知らせて
こられたそうです。
Jアラートに用いられている不協和音には、おそらくそういう
意図を持って作成されているのでしょうが、人の不安をより一層かき立てる、
不快極まりない響きがあります。
地上を走る交通機関には特段の配慮もなく、地下鉄を止めるという
ちぐはぐな対応にも疑問符が残りますし、何より最も脆弱かつ危険な
原発の運転を、停止しようともしないことには、何か別の意図でもあるのでは
と疑ってしまいます。
確かに我が国と北朝鮮の政治状況には、予断を許さぬものがありますが、
国連演説をはじめとする現政権の、武力対立をも辞さぬかのような
敵愾心むき出しの対応は、平和国家として歩んできた我が国の、
戦後70年の歴史を軽んじているようで、看過しえないものがあります。
加えて、米国は自国のアジア戦略の一環として、日米地位協定を根拠に、
日本を米国の軍事拠点として温存するべく、1953年の朝鮮戦争の休戦後も、
北朝鮮の再三にわたる和平協議の申し出を無視して来ました。
何故なら、国連軍?を称する米軍は、米朝間の和平協定が締結されれば、
速やかに日本から撤収しなくてはならなくなるからです。
今、米国の世界戦略の歯車として振る舞うことが、本当にこの国と、
未来の子ども達に対する誠実な態度なのか、よくよく熟考する必要があるのです。
過ちを繰り返してきた20世紀、私たちは深い懺悔の心をもって、
道を誤らぬようにしなければなりません。
わけても仏教には、過去から現在を問い、未来から現在を見て、
現在を生きるという、未来の先取りから今を位置づける、深い知恵があるのですから。
過去を変えることは出来ないが
意味を変えることは出来る。
ひとは事実で生きているのではない
意味で生きているのだ。
十月の行事
4 日(水)午前10時半 ピラティス
13日(金)午後1時 仏教コーラスの会
17日(火)午後2時 門徒女性聞法のつどい
浄土和讃 27
19日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
21日(土)午後4時 祥月講・同朋の会
ご法話 円龍寺ご住職 門井 斉師
十一月の行事
1 日(水)午前10時半〜 ピラティス
5 日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕
報 恩 講
12日(日)午後2時〜 大逮夜
夕方6時〜 御伝鈔拝読
13日(月)午後2時〜 結願日中
ご法話 泉大津 南溟寺 戸次公正師
(お抹茶・お斎のご接待有ります。)
16日(木)午後2時〜 仏教民謡踊りの会
27日(月)午後2時〜 仏教コーラスの会
*11月の門徒女性聞法の集いはお休みです。
*12月3日(日)秋の日帰りバスツアーを企 画しております。
詳細は後日お知らせいたしますが、どうぞご予定下さいませ。
*本堂内すべて椅子席、冷暖房完備、どなた様もお気軽に。
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| 住職日々随想
2017年08月29日
9月住職日々随想
住職日々随想
卑近な例で恐縮いたしますが、過日の朝の連続ドラマ「ひよっこ」のなかで、主人公が自由についての思いを語る場面がありました。
おそらくは作者の岡田惠和氏の考えを、主人公に語らせているのでしょう。
曰わく、自由とは自ら選択することで、他人から見れば大変だなぁと思えるようなことも、自らの意思に従って選び取ったことならば、当人にとっては不幸でも不運でもなく、むしろその結果を積極的に受け入れることのできるものなのだと言わせていました。
そこに現れたものを、仏教のことばでいえば、「自在」と言い変えることができると思えます。
遠い過去世に於いて、法蔵菩薩がご本願を誓われるに先立って、「世自在王仏」つまり、世に於いて真に自由にして自在なる精神を生きておられるみ仏、自らにその存在根拠を持っておられるみ仏のみ元にましまして、一切衆生の救われる道を求められたと、仏説無量寿経に説かれています。
法蔵菩薩の問いに対し世自在王仏は、「汝自当知(他者に答えを求めるのではなく、自ら明らかにしなさい)」と示され、法蔵菩薩は五劫という無限の時間思惟され、ついにご本願を明らかにされたと説かれています。
実に、自由にして自在なる精神は浄土教仏教の土台ともいうべきもので、自らの根源にあり、且つ、すべてのいのちあるものと通じる願い、「ご本願」が立ち現われてくる大地となるものだと明らかにされたのです。
ところが最近しばしば、「行き過ぎた自由」という言い回しを耳にするようになりました。
そこにあるのは自ら選択することに倦んで、他者に任せておきながらも、その結果に文句ばかりいう、そういう人が増えてきている事への反動なのではないか、と危惧するところです。
ドイツの思想家・哲学者のエーリヒ・フロムは、ナチズムや日本軍国主義が台頭していた、1941年に著書『自由からの逃走』の中で、孤独と無力感にさいなまれた大衆は、他者との関係、指導者とのより強固な関係を求めて、全体主義に傾斜していくようになると、警句を発していました。実にその指摘が的を射たであったことは、その後の歴史の証明するところです。
今改めてこの警句に耳を傾ける時、真実を捻じ曲げても恥じる事のない、ポピュリズム政治の広まりの中、たやすく思考停止に陥ってしまう我々の姿勢には、強い不安を感じずにはおれません。
だからこそ今、仏教の根源である自在なる精神の復興を願い、自ら思考し、選び取った事柄はしっかりと担っていく、そんな覚悟を持つべき時なのではないでしょうか。
九月の行事
6 日(水)午前10時半 ピラティス
8 日(金)午後1時 仏教コーラスの会
16日(土)午後2時・夕方6時
秋季彼岸会永代経法要
ご法話 阿倍野即応寺ご住職 藤井 善隆師
26日(火)〜27日(水)一泊上山奉仕研修
28日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
十月の行事
4 日(水)午前10時半〜 ピラティス
13日(金)午後1時 仏教コーラスの会
17日(火)午後2時 門徒女性聞法のつどい
浄土和讃 27
19日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
21日(土)午後4時 祥月講・同朋の会
ご法話 円龍寺ご住職 門井 斉師
*九月の門徒女性聞法の集いは、彼岸会が有りますのでお休みです。
*九月十月の仏教コーラスは1時からに変更になっております。
卑近な例で恐縮いたしますが、過日の朝の連続ドラマ「ひよっこ」のなかで、主人公が自由についての思いを語る場面がありました。
おそらくは作者の岡田惠和氏の考えを、主人公に語らせているのでしょう。
曰わく、自由とは自ら選択することで、他人から見れば大変だなぁと思えるようなことも、自らの意思に従って選び取ったことならば、当人にとっては不幸でも不運でもなく、むしろその結果を積極的に受け入れることのできるものなのだと言わせていました。
そこに現れたものを、仏教のことばでいえば、「自在」と言い変えることができると思えます。
遠い過去世に於いて、法蔵菩薩がご本願を誓われるに先立って、「世自在王仏」つまり、世に於いて真に自由にして自在なる精神を生きておられるみ仏、自らにその存在根拠を持っておられるみ仏のみ元にましまして、一切衆生の救われる道を求められたと、仏説無量寿経に説かれています。
法蔵菩薩の問いに対し世自在王仏は、「汝自当知(他者に答えを求めるのではなく、自ら明らかにしなさい)」と示され、法蔵菩薩は五劫という無限の時間思惟され、ついにご本願を明らかにされたと説かれています。
実に、自由にして自在なる精神は浄土教仏教の土台ともいうべきもので、自らの根源にあり、且つ、すべてのいのちあるものと通じる願い、「ご本願」が立ち現われてくる大地となるものだと明らかにされたのです。
ところが最近しばしば、「行き過ぎた自由」という言い回しを耳にするようになりました。
そこにあるのは自ら選択することに倦んで、他者に任せておきながらも、その結果に文句ばかりいう、そういう人が増えてきている事への反動なのではないか、と危惧するところです。
ドイツの思想家・哲学者のエーリヒ・フロムは、ナチズムや日本軍国主義が台頭していた、1941年に著書『自由からの逃走』の中で、孤独と無力感にさいなまれた大衆は、他者との関係、指導者とのより強固な関係を求めて、全体主義に傾斜していくようになると、警句を発していました。実にその指摘が的を射たであったことは、その後の歴史の証明するところです。
今改めてこの警句に耳を傾ける時、真実を捻じ曲げても恥じる事のない、ポピュリズム政治の広まりの中、たやすく思考停止に陥ってしまう我々の姿勢には、強い不安を感じずにはおれません。
だからこそ今、仏教の根源である自在なる精神の復興を願い、自ら思考し、選び取った事柄はしっかりと担っていく、そんな覚悟を持つべき時なのではないでしょうか。
九月の行事
6 日(水)午前10時半 ピラティス
8 日(金)午後1時 仏教コーラスの会
16日(土)午後2時・夕方6時
秋季彼岸会永代経法要
ご法話 阿倍野即応寺ご住職 藤井 善隆師
26日(火)〜27日(水)一泊上山奉仕研修
28日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
十月の行事
4 日(水)午前10時半〜 ピラティス
13日(金)午後1時 仏教コーラスの会
17日(火)午後2時 門徒女性聞法のつどい
浄土和讃 27
19日(木)午後2時 仏教民謡踊りの会
21日(土)午後4時 祥月講・同朋の会
ご法話 円龍寺ご住職 門井 斉師
*九月の門徒女性聞法の集いは、彼岸会が有りますのでお休みです。
*九月十月の仏教コーラスは1時からに変更になっております。
posted by ansenji at 00:48| Comment(0)
| 住職日々随想