法 悦 6月号 873号
この憲法が
日本国民に保障する
基本的人権は、
人類の多年にわたる
自由獲得の努力の成果であつて、
これらの権利は
過去幾多の試錬に堪へ
現在及び将来の国民に対し
侵すことのできない
永久の権利として
信託されたものである。
「日本国憲法第97条」
青色青光
およそ仏教では「知りつつ犯す過ちよりも、知らずに犯した過ちの方が
より罪深い」と、無明の闇の深さを知らず、無自覚に過ちを犯す事を戒め
ています。
1985年5月8日、欧州の第二次世界大戦終戦記念日に、ドイツの
ヴァイツゼッカー大統領が連邦議会で行った「荒れ野の40年」と題された
演説が、大きな感動を生み、その全文が各国で翻訳出版されました。
わけても重要な言葉が「過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも
盲目となる」と、おびただしい犠牲者や、筆舌に尽くしがたい苦難を
強いられた人びとに思いをはせ、心に刻むことの大切さを、そして「若い
人たちにかつて起ったことの責任はありません。しかし、その後の歴史の
なかで、そうした出来事から生じてきたことに対しては責任があります。」
と、歴史に対する無知と無関心が、新たな罪を犯すことにもなりうると
警句を発しています。
政治学者の中島岳志氏が、立憲と民主との関係について述べておられますが、
民主主義というのは今生きている過半数の人間が賛成すれば通っていくのに
対して、立憲主義、憲法というのは今生きているものだけではなく、先人達が
多くの失敗に学び、今生きている我々を信じて託すもの、言わば主語はむしろ
死者であり、そこに生まれる緊張関係こそが、物事をよりよい方向に導くと
指摘しています。その事が最も的確に表されているのが、この97条なのです。
住職日々随想
私事で恐縮ですが、先日散髪中にマスターとの雑談で「最近、コロナ禍の
影響もあってか、携帯電話で手軽に公営ギャンブルができるようになり、
のめり込んでしまう若者が急増していて、中にはそれだけでは我慢できず、
海外のカジノにまで出かけ、あっという間に何千万もの大金をすってしまう
子もいるんですよ。」と聞かされ、驚嘆すると同時に、地元大阪の先行きに
不安を感じ、暗澹たる気分になりました。
経済再生の起爆剤になると盛んに喧伝し、カジノの収益を当てにした、
いわゆる統合型リゾート誘致が、大阪湾の人工島「夢洲」で進められています。
国が許認可権を持つカジノ誘致に、名乗りを上げた自治体は、他にもいくつ
かありましたが、いずれも地元住民の反対などもあって頓挫する中、大阪が
国内のカジノ誘致、一番乗りを果たす形となりました。
そんな大阪の現状とは裏腹に、誘致計画の白紙撤回に至った自治体の一つに
横浜市がありますが、その反対運動の中心となった人物が、「ハマのドン」
と呼ばれ、自民党の有力幹部や地元財界にも太いパイプを持ち、菅義偉元総理
生みの親とも言われる、横浜港運協会会長の藤木幸夫さんという方です。
氏が記者会見で「港の先輩達、この地で汗を流し血を流し、死んでいった人たち
がいっぱいいる。その方々が何か言いたいのだろうと思う。死んだ親父に横浜の
将来をちゃんとしろよ。博打場はやめろよと言わされているように感じる」と。
その藤木さんのお父さんも、地元横浜だけでなく、全国の港運協会にも強い
影響力を持つ方だったそうで、港湾で働く人々の生活安定のために尽力されて
きた中、博打で身を持ち崩し、道を踏み外し不幸になってしまった人々を数多く
見てこられ、その対策に奔走された、その事実が氏の背中を強く押したので
しょう。
いつ命を狙われても不思議ではない、そんな彼の命がけの反対もあって、
カジノ誘致計画が白紙撤回された後、政治学者の中島岳志氏との対談で、
中島氏が柳田国男の「先祖の話」を紹介され、ちゃんとしたご先祖になる。
死んだ後にも仕事があるという話を受け、「私は死んだ親父や先輩達の思いを
背負ってカジノに反対してきた。けれども、こういうことをやるのは俺で最後
だろうな、と思う時がありました。俺がいなくなったらこういうことを言う
やつはいなくなるだろうな、と寂しく思う時もありました。が、それはおごり
でした。俺で終わりだなんて思うのは生意気だね。まだ先があると言うこと
ですね。これで私は死んだ後も戦えます」と。
ややもすれば、生きている者の目先の利益や都合だけで、物事を決めて
しまうことは、危うさの影を濃くしてしまいます。死者も主権者として
ご参加いただき、死者と未来の他者との対話を通して歩んでいくことの
大切さを、改めて知らされました。
それはまた、「先に生まれん者は後を導き、後に生まれん者は先を訪え」
という教行信証のお言葉にも通じるものです。
坊守便り
ー琵琶の弾き語りと 帯結び(花むすび)展示ー
5月の同朋会は女性の集いと共催させて頂きました。
初めのご挨拶は、同朋の会の稲垣信夫会長にして頂き、最後は三木ふみこ
女性部長に締めのご挨拶をして頂きました。
役員の皆様には5月ならではの柏餅と、お抹茶の接待をしていただき
ました。
展示には、伝統ある装道礼法着物学院、大阪市内支部講師の皆様に、
9体の花むすびを飾っていただきました。
私が長年携わっている会ですが、高い技術力で華やかな帯結びの展示を
してくださいました。
おかげさまで、大阪で花開いた和装の文化を、皆様にお伝えする事が
出来ました。
その後、猪飼野近くでお生まれになられた、琵琶奏者の野田勝香先生に
お越し頂き、弾き語りをご披露いただきました。
お母様から受け継がれた琵琶を演奏され、ますます円熟を極められて
おられます。
今回は「嫁脅し肉付きの面」という、蓮如上人、吉崎でのご教化の
お話を題材にした伝説を、琵琶の引き語りに仕上げご披露下さいました。
嫁の聞法を邪魔する邪悪な姑が改心し、ご信心に目覚めていかれる物語、
今ひとつは「伽羅の兜」という、大坂夏の陣で散った木村重成と
その妻との、美しくも悲しい物語でした。
すばらしく力強い語りと迫力ある演奏に皆さん喜ばれ、楽しいひとときで
ございました。
六月の行事
1 日(木) 午前10時半〜 ピラティス
15日(木) 午前10時半〜 ピラティス
17日(土) 午後2時〜 祥月講・同朋の会聞法会
ご法話 専光寺 前住職 島洸陽師
七月の行事
1 日(土) 午後2時〜 祥月講・同朋の会聞法会
ご法話 武庫川念仏寺住職 土井紀明師
6 日(木) 午前10時半〜 ピラティス
20日(木) 午前10時半〜 ピラティス
*感染予防には十分配慮し各行事を行いますが、感染が拡大した場合、変更
もしくは中止する事ががございます。
2023年05月28日
2023年6月
posted by ansenji at 23:27| Comment(0)
| 法悦
2023年03月31日
2023年4月
法 悦 4月号 871号
この星
地球
この大地
この自然は
先祖から
譲り受けたものではなく
我々が
ほんのしばらくの間
子孫から
借りているものなのだ
ネイティブアメリカン ナバホ族のことわざ
青色青光
1962年に生物学者・作家のレイチェル・カーソンが、DDTをはじめと
する殺虫剤や農薬の生態系に与える影響の深刻さを告発し、著した「沈黙の春」
は時代を超えるベストセラーとなり、以降、環境問題が世界的な運動に発展
していきました。
そのような流れの中、キリスト教旧訳聖書『創世記』に「生めよ、ふえよ、
地に満ちよ、地を従わせしめよ、海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての
生き物を治めさせよ」と、神が万物の霊長として、世界の支配権を人間に与え
られたと説かれている教えに反し、環境運動の高まりに伴ってアメリカ先住民、
ネイティブ・アメリカンの伝統的な思想や自然観が脚光を浴びる事となりました。
上記のことわざもその一例ですが、元来、土地の私有という概念のなかった
彼らは、「大地は共同体にいのちを与え、そのいのちを存続させていくもの。
しかも大地は七世代後の子孫から、今借りているもの、次の世代には、無傷で
最良の形で残していかねばならない」と。
その姿勢は、仏教の「経」はタテ糸、連続無窮に、後の世の人々に伝え続け、
無量のいのち耀く浄土を願わしめる為にこそある、という思想に通じるもの
なのです。
住職日々随想
東日本大震災発生に伴う福島第一原子力発電所の事故から十二年、地震や
火山活動、その他自然災害の絶え間ない我が国において、一旦事故が起これば
取り返しのつかない事態に陥る原発、そんな原発に依存しない社会を目指そう
というのが、多くの国民の思いではなかったでしょうか?
しかし、複雑に利権の絡み合った原発に比べ、すぐには利益に結びつかない、
再生可能エネルギーの推進に積極的でなかった政府は、エネルギー価格の高騰
を理由に、まともな議論もせず、原発再稼働や運転期間の大幅延長、はては
原発新増設まで目指すという方針を打ち出しました。
調査報道記者、日野行介氏は著書「原発再稼働ー葬られた過酷事故の教訓」で、
岸田政権が急に脱原発の方針を転換した、と多くの国民は誤解しているが、
実は事故後すぐに再稼働有りきで、オブラートに包むようにして進められてきた
種々の施策が、ここにきて開き直ってあからさまにされてきただけで、初めから
何も変わっていない、と。
事故後に設置された「原子力規制委員会」も、再稼働しなければ「規制」
する必要もないわけで、多くの国民の脱原発の期待とは裏腹に、新基準を
満たした原発に「再稼働のお墨付き」を与える事が目的で、当初から脱原発の
ための委員会ではないと、目から鱗の事実を指摘しています。
また、放射性廃棄物の最終処分をどうするかのめどもなく、30年の期限を
つけて「中間貯蔵」を進めています。
更には、どう考えても不可能に思える、百万人近くに及ぶ住民の緊急避難
計画も、再稼働しなければ必要のないもので、進むも地獄、退くも地獄、
どうしようも無いと思考停止に陥った末作成された、非現実的なものなのだ、と。
そのような中、事故からわずか4年5ヶ月の2015年8月に、新基準を
満たしたからと、九州川内原発1号機が再稼働しましたが、これを皮切りに、
いつの間にか何基もの原発は動いている、という事実の前に、国民の多くが
徐々にならされ、それこそ半減期二万年とも言われる放射性物質に比して、
私達の記憶は五年と持たないのか、急速な風化と相まって、傍観者のように
なってしまっているというのが現状ではないでしょうか?
親鸞聖人は「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みな
もって、そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまこと
にておわします。」と、今だけ、ここだけ、自分だけと、「おのれよければ
すべてよし」の、虚仮不実のわが身を、念仏と共に、まことの世界に帰れと
お諭し下さっています。
坊守便り
ー本山慶賛法要団体参拝ー
本年三月二十五日から四月二十九日まで東本願寺では慶讃法要が勤まり
ます。宗祖親鸞聖人のご誕生と立教開宗を讃える御仏事です。
安泉寺でも三月二十五日に有志を募り、近隣の同派の寺院連合でお参り
させて頂きました。
バスの車中では、聖人の求道のご生涯を解り易くまとめたDVDを
鑑賞し、京都国立博物館にて当日初日の、親鸞聖人特別展を見学
しました。関東、北陸、各地から選りの見応えある展示物の数々でした。
その後、本山の名勝庭園・渉成園にて、見頃の桜に出迎えられて、
ひととき春の風情をみんなで楽しみました。
お昼には大寝殿で京料理老舗、泉仙の慶讃法要弁当を頂き、阿弥陀堂
にて記念法要に遇わせて頂きました。
先の法要で修復の終わった光り輝く御堂です。
聖人ご木像のある御影堂と二つのお堂で、ご門主と長男の新門さんが
同時にお勤めなさいました。この事もお二人おられてこその試み。
頼もしい事です。
境内では旧知の職員方と再会しました。それぞれの裏方がこころを
込めて全国の皆さんを待ち受ける、そんな思いの伝わる本山参拝でした。
四月の行事
9 日(日)午後2時〜4時 花まつり子ども会
お話読み聞かせ・ゲーム他 参加費無料
午後6時〜記念コンサート
アルボリビエント・MarieLouise他
チケット 3.000円
門徒前売り 2.000円
13日(木)午前10時半〜ピラティス
15日(土)午後2時〜祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 島章師
24日(月)午前10時半〜ピラティス
五月の行事
18日(木)午前10時半〜ピラティス
20日(土)午後2時〜琵琶演奏を聴く集い
「石の枕」その他 野田孝子さん
25日(月)午前10時半〜ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染が
さらに拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
この星
地球
この大地
この自然は
先祖から
譲り受けたものではなく
我々が
ほんのしばらくの間
子孫から
借りているものなのだ
ネイティブアメリカン ナバホ族のことわざ
青色青光
1962年に生物学者・作家のレイチェル・カーソンが、DDTをはじめと
する殺虫剤や農薬の生態系に与える影響の深刻さを告発し、著した「沈黙の春」
は時代を超えるベストセラーとなり、以降、環境問題が世界的な運動に発展
していきました。
そのような流れの中、キリスト教旧訳聖書『創世記』に「生めよ、ふえよ、
地に満ちよ、地を従わせしめよ、海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての
生き物を治めさせよ」と、神が万物の霊長として、世界の支配権を人間に与え
られたと説かれている教えに反し、環境運動の高まりに伴ってアメリカ先住民、
ネイティブ・アメリカンの伝統的な思想や自然観が脚光を浴びる事となりました。
上記のことわざもその一例ですが、元来、土地の私有という概念のなかった
彼らは、「大地は共同体にいのちを与え、そのいのちを存続させていくもの。
しかも大地は七世代後の子孫から、今借りているもの、次の世代には、無傷で
最良の形で残していかねばならない」と。
その姿勢は、仏教の「経」はタテ糸、連続無窮に、後の世の人々に伝え続け、
無量のいのち耀く浄土を願わしめる為にこそある、という思想に通じるもの
なのです。
住職日々随想
東日本大震災発生に伴う福島第一原子力発電所の事故から十二年、地震や
火山活動、その他自然災害の絶え間ない我が国において、一旦事故が起これば
取り返しのつかない事態に陥る原発、そんな原発に依存しない社会を目指そう
というのが、多くの国民の思いではなかったでしょうか?
しかし、複雑に利権の絡み合った原発に比べ、すぐには利益に結びつかない、
再生可能エネルギーの推進に積極的でなかった政府は、エネルギー価格の高騰
を理由に、まともな議論もせず、原発再稼働や運転期間の大幅延長、はては
原発新増設まで目指すという方針を打ち出しました。
調査報道記者、日野行介氏は著書「原発再稼働ー葬られた過酷事故の教訓」で、
岸田政権が急に脱原発の方針を転換した、と多くの国民は誤解しているが、
実は事故後すぐに再稼働有りきで、オブラートに包むようにして進められてきた
種々の施策が、ここにきて開き直ってあからさまにされてきただけで、初めから
何も変わっていない、と。
事故後に設置された「原子力規制委員会」も、再稼働しなければ「規制」
する必要もないわけで、多くの国民の脱原発の期待とは裏腹に、新基準を
満たした原発に「再稼働のお墨付き」を与える事が目的で、当初から脱原発の
ための委員会ではないと、目から鱗の事実を指摘しています。
また、放射性廃棄物の最終処分をどうするかのめどもなく、30年の期限を
つけて「中間貯蔵」を進めています。
更には、どう考えても不可能に思える、百万人近くに及ぶ住民の緊急避難
計画も、再稼働しなければ必要のないもので、進むも地獄、退くも地獄、
どうしようも無いと思考停止に陥った末作成された、非現実的なものなのだ、と。
そのような中、事故からわずか4年5ヶ月の2015年8月に、新基準を
満たしたからと、九州川内原発1号機が再稼働しましたが、これを皮切りに、
いつの間にか何基もの原発は動いている、という事実の前に、国民の多くが
徐々にならされ、それこそ半減期二万年とも言われる放射性物質に比して、
私達の記憶は五年と持たないのか、急速な風化と相まって、傍観者のように
なってしまっているというのが現状ではないでしょうか?
親鸞聖人は「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろずのこと、みな
もって、そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまこと
にておわします。」と、今だけ、ここだけ、自分だけと、「おのれよければ
すべてよし」の、虚仮不実のわが身を、念仏と共に、まことの世界に帰れと
お諭し下さっています。
坊守便り
ー本山慶賛法要団体参拝ー
本年三月二十五日から四月二十九日まで東本願寺では慶讃法要が勤まり
ます。宗祖親鸞聖人のご誕生と立教開宗を讃える御仏事です。
安泉寺でも三月二十五日に有志を募り、近隣の同派の寺院連合でお参り
させて頂きました。
バスの車中では、聖人の求道のご生涯を解り易くまとめたDVDを
鑑賞し、京都国立博物館にて当日初日の、親鸞聖人特別展を見学
しました。関東、北陸、各地から選りの見応えある展示物の数々でした。
その後、本山の名勝庭園・渉成園にて、見頃の桜に出迎えられて、
ひととき春の風情をみんなで楽しみました。
お昼には大寝殿で京料理老舗、泉仙の慶讃法要弁当を頂き、阿弥陀堂
にて記念法要に遇わせて頂きました。
先の法要で修復の終わった光り輝く御堂です。
聖人ご木像のある御影堂と二つのお堂で、ご門主と長男の新門さんが
同時にお勤めなさいました。この事もお二人おられてこその試み。
頼もしい事です。
境内では旧知の職員方と再会しました。それぞれの裏方がこころを
込めて全国の皆さんを待ち受ける、そんな思いの伝わる本山参拝でした。
四月の行事
9 日(日)午後2時〜4時 花まつり子ども会
お話読み聞かせ・ゲーム他 参加費無料
午後6時〜記念コンサート
アルボリビエント・MarieLouise他
チケット 3.000円
門徒前売り 2.000円
13日(木)午前10時半〜ピラティス
15日(土)午後2時〜祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 島章師
24日(月)午前10時半〜ピラティス
五月の行事
18日(木)午前10時半〜ピラティス
20日(土)午後2時〜琵琶演奏を聴く集い
「石の枕」その他 野田孝子さん
25日(月)午前10時半〜ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染が
さらに拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
posted by ansenji at 17:48| Comment(0)
| 法悦
2023年02月27日
2023年3月
法 悦 3月号 870号
ー真実の心 なむあみだぶつの歴史の詩(うた)ー
ある時、ひとりの人間が地上に誕生しました。大きな「いのち」の海から、
ひと、として生まれてきたその人は、自分を世に出した「いのち」の源を
たずねて、終わりのない歩みをはじめました。
やがて、その人の歩みは伝説となり、人々の間で心から心へと語りつがれて
いきました。
その伝説には、忘れていたことを思いださせる不思議な力があるのです。
どうやらそれは、その人の願いが声となり、言葉となり、世の光となって、
今でも、どこかで響いているからだと思われます。
その願いに出会った人はみんな、ありのままに生と死を見つめそれぞれに
「いのち」の花を咲かせ、生き生きとしていけるのです。
『正信偈』にはそんなことがうたわれています。
この詩(うた)は、はじめの方で、一人のひとが永遠の寿(いのち)と光を
もって、阿弥陀仏となるまでのいきさつが語られています。
それは二五〇〇年前、インドに生まれた釈尊(シャカムニ・ゴータマ・
ブッダ)によって説かれた『永遠のいのちの物語』というお経の話です。
青色青光
上記の文章は子ども達に仏さまのことば
を知ってもらいたい、親鸞様の「正信偈」の
意味を知ってもらいたいと、何年もの歳月を費やし東本願寺児童教化連盟の
仲間達で作成した『いのち』というテキストに、「正信偈」偈前の文として
戸次公正師が寄せられたもので、お釈迦さまのお説きになった、法蔵菩薩の
求道遍歴から説き起こされる仏説無量寿経を「永遠のいのちの物語」
と受け止め、表現しておられます。
およそ私たちの誰もが、物事を深く理解し、心に刻もうとする時、
その事柄が物語とまでなって、初めて腑に落ちるのではないでしょうか。
世界中に見られる神話や民話などの多くが、そのような成り立ちを
持っています。
分けても、それが意味深く、受け止めた人々の人生に大きな影響を与えうる
ものであればあるほど、国を超え民族の違いも超えて、人から人へ手渡され、
永く伝えられていくのです。
物語を単なる物語としてではなく、その物語の中に自身を見いだし、より
深く受け止め、自身紡いでいく語り手となって、歩みを共にしていく、そこに
物語は、一方的に聞くだけの「ストーリー」を超えた「真実」であると深く
頷かされ、生きる拠り所ともなるのです。
住職日々随想
先に記したように私たちは自身の人生を含め、物語として受け止めて初めて
腑に落ち、得心するものなのです。
例えば臨終の時、今までの自身の越し方が、走馬灯のように思い出されると
言われます。実際のところそれが事実なのかどうなのかは亡くなっていく
本人にしかわからない事なのかもしれませんが…
しかし様々な経典や論釈を紐解き、地獄極楽の相をまるで見てきたかの
ように克明に著された源信僧都の『往生要集』には、以下のように説かれて
います。
地獄に落ちると亡者は皆、閻魔様の前に引き出されます。
閻魔様のすぐ横には浄玻璃の鏡が有り、亡者が生前犯してきた悪しき行いや、
他を傷つけてきた事柄全てが余す所なく、まるで再現VTRを観るかの
ように映し出されます。
そこで閻魔様は何か裁きを下されるのではなく、亡者自身が写しだされた
罪深い己の姿に、「恐れ入りました」と、深くこうべを垂れて、自ら地獄に
落ちていくそうです。
昔のうたに「火の車作る大工は無けれども、己が作りて己が乗りゆく」と
ありますように、地獄行きの火の車を作るのは、自らの悪業によるもの
なのであって、それに乗って地獄に落ちていくのも、やはり本人に他ならない
というのです。
およそ荒唐無稽な作り話と受け取る向きもあるかもしれません。しかし、
この物語には、単なる物語を超えた真実があることが知らされます。
つまり、たとえ悪事をなして手に入れたものがあったとしても、心の底には
罪の意識が積み重なり、必ずその人を蝕んでいく、その事を表している
とは言えないでしょうか。
ロシアのプーチン大統領は、旧ソビエト連邦時代の、多くの周辺国を従え、
強大な勢力を誇っていた過去を懐かしみ、そこに固執して、ウクライナに
軍事侵攻いたしました。
が、短期に勝利を得ると思っていた予想とは裏腹に、まる一年の時を経ても
尚、膠着状態にあります。
さらに、歓呼の声を持って迎えられるとでも思っていたのかもしれませんが、
力でねじ伏せてきた周辺国が、ソビエト崩壊によって、ようやく手に入れた
自由と独立を手放すはずもなく、思いもよらぬ抵抗にあって苦戦しています。
戦争に反対する人々を弾圧し、虚偽情報を流布させて自国民の敵愾心を
煽っていますが、彼の思い描いた物語に一体どれだけの人がうなづき、
共有しようとするでしょう?真実ならざるものは語り継がれる物語とは
ならないのです。
坊守便り
ー地域懇親会を行いましたー
三年ぶりに旧猪飼野村の町会役員さん、猪飼野保存会の方々、安泉寺総代会
・同朋会・女性会の方々にお集まり頂き、地域懇親会を開催致しました。
十二年前の親鸞聖人七五〇回大遠忌法要を機に、「地域懇親の集い」
を続けさせて頂いておりましたが、コロナ禍の為、休会しておりました。
この度の法要でも皆さん惜しまずご協力下さいました。
保存会会員様はもとより猪飼野村を大切に思う方々です。安泉寺は
この地に四〇〇年の歴史があり、皆さんの思いはありがたことです。
今回は十一月六日の大屋根修復・慶讃法要の記念DVDの上映会を
させて頂きました。
法要当日は会場が四カ所となりましたが、それぞれの持ち場でご協力
頂きました。
そんな当日の模様を記録映像を観ながら、お茶を囲んで振り返りました。
それぞれの場面一つ一つに喜びがあり、笑いがあり、厳かな法要に感嘆し、
と素晴らしい上映会となりました。
このご縁を大切に猪飼野村の古寺として、皆様の心の拠りどころとして、
法灯を守って参りたい事でございます。
三月の行事
9 日(木)午前10時半〜ピラティス
12日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕
18日(土)午後2時〜 春季彼岸永代経法要
ご講師 伊勢道浄寺 酒井正夫師
23日(木)午前10時半〜ピラティス
25日(土)終日 ご本山慶讃法要団体参拝
四月の行事
13日(木)午前10時半〜ピラティス
15日(土)午後2時〜祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 島章師
24日(月)午前10時半〜ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染がさらに
拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
ー真実の心 なむあみだぶつの歴史の詩(うた)ー
ある時、ひとりの人間が地上に誕生しました。大きな「いのち」の海から、
ひと、として生まれてきたその人は、自分を世に出した「いのち」の源を
たずねて、終わりのない歩みをはじめました。
やがて、その人の歩みは伝説となり、人々の間で心から心へと語りつがれて
いきました。
その伝説には、忘れていたことを思いださせる不思議な力があるのです。
どうやらそれは、その人の願いが声となり、言葉となり、世の光となって、
今でも、どこかで響いているからだと思われます。
その願いに出会った人はみんな、ありのままに生と死を見つめそれぞれに
「いのち」の花を咲かせ、生き生きとしていけるのです。
『正信偈』にはそんなことがうたわれています。
この詩(うた)は、はじめの方で、一人のひとが永遠の寿(いのち)と光を
もって、阿弥陀仏となるまでのいきさつが語られています。
それは二五〇〇年前、インドに生まれた釈尊(シャカムニ・ゴータマ・
ブッダ)によって説かれた『永遠のいのちの物語』というお経の話です。
青色青光
上記の文章は子ども達に仏さまのことば
を知ってもらいたい、親鸞様の「正信偈」の
意味を知ってもらいたいと、何年もの歳月を費やし東本願寺児童教化連盟の
仲間達で作成した『いのち』というテキストに、「正信偈」偈前の文として
戸次公正師が寄せられたもので、お釈迦さまのお説きになった、法蔵菩薩の
求道遍歴から説き起こされる仏説無量寿経を「永遠のいのちの物語」
と受け止め、表現しておられます。
およそ私たちの誰もが、物事を深く理解し、心に刻もうとする時、
その事柄が物語とまでなって、初めて腑に落ちるのではないでしょうか。
世界中に見られる神話や民話などの多くが、そのような成り立ちを
持っています。
分けても、それが意味深く、受け止めた人々の人生に大きな影響を与えうる
ものであればあるほど、国を超え民族の違いも超えて、人から人へ手渡され、
永く伝えられていくのです。
物語を単なる物語としてではなく、その物語の中に自身を見いだし、より
深く受け止め、自身紡いでいく語り手となって、歩みを共にしていく、そこに
物語は、一方的に聞くだけの「ストーリー」を超えた「真実」であると深く
頷かされ、生きる拠り所ともなるのです。
住職日々随想
先に記したように私たちは自身の人生を含め、物語として受け止めて初めて
腑に落ち、得心するものなのです。
例えば臨終の時、今までの自身の越し方が、走馬灯のように思い出されると
言われます。実際のところそれが事実なのかどうなのかは亡くなっていく
本人にしかわからない事なのかもしれませんが…
しかし様々な経典や論釈を紐解き、地獄極楽の相をまるで見てきたかの
ように克明に著された源信僧都の『往生要集』には、以下のように説かれて
います。
地獄に落ちると亡者は皆、閻魔様の前に引き出されます。
閻魔様のすぐ横には浄玻璃の鏡が有り、亡者が生前犯してきた悪しき行いや、
他を傷つけてきた事柄全てが余す所なく、まるで再現VTRを観るかの
ように映し出されます。
そこで閻魔様は何か裁きを下されるのではなく、亡者自身が写しだされた
罪深い己の姿に、「恐れ入りました」と、深くこうべを垂れて、自ら地獄に
落ちていくそうです。
昔のうたに「火の車作る大工は無けれども、己が作りて己が乗りゆく」と
ありますように、地獄行きの火の車を作るのは、自らの悪業によるもの
なのであって、それに乗って地獄に落ちていくのも、やはり本人に他ならない
というのです。
およそ荒唐無稽な作り話と受け取る向きもあるかもしれません。しかし、
この物語には、単なる物語を超えた真実があることが知らされます。
つまり、たとえ悪事をなして手に入れたものがあったとしても、心の底には
罪の意識が積み重なり、必ずその人を蝕んでいく、その事を表している
とは言えないでしょうか。
ロシアのプーチン大統領は、旧ソビエト連邦時代の、多くの周辺国を従え、
強大な勢力を誇っていた過去を懐かしみ、そこに固執して、ウクライナに
軍事侵攻いたしました。
が、短期に勝利を得ると思っていた予想とは裏腹に、まる一年の時を経ても
尚、膠着状態にあります。
さらに、歓呼の声を持って迎えられるとでも思っていたのかもしれませんが、
力でねじ伏せてきた周辺国が、ソビエト崩壊によって、ようやく手に入れた
自由と独立を手放すはずもなく、思いもよらぬ抵抗にあって苦戦しています。
戦争に反対する人々を弾圧し、虚偽情報を流布させて自国民の敵愾心を
煽っていますが、彼の思い描いた物語に一体どれだけの人がうなづき、
共有しようとするでしょう?真実ならざるものは語り継がれる物語とは
ならないのです。
坊守便り
ー地域懇親会を行いましたー
三年ぶりに旧猪飼野村の町会役員さん、猪飼野保存会の方々、安泉寺総代会
・同朋会・女性会の方々にお集まり頂き、地域懇親会を開催致しました。
十二年前の親鸞聖人七五〇回大遠忌法要を機に、「地域懇親の集い」
を続けさせて頂いておりましたが、コロナ禍の為、休会しておりました。
この度の法要でも皆さん惜しまずご協力下さいました。
保存会会員様はもとより猪飼野村を大切に思う方々です。安泉寺は
この地に四〇〇年の歴史があり、皆さんの思いはありがたことです。
今回は十一月六日の大屋根修復・慶讃法要の記念DVDの上映会を
させて頂きました。
法要当日は会場が四カ所となりましたが、それぞれの持ち場でご協力
頂きました。
そんな当日の模様を記録映像を観ながら、お茶を囲んで振り返りました。
それぞれの場面一つ一つに喜びがあり、笑いがあり、厳かな法要に感嘆し、
と素晴らしい上映会となりました。
このご縁を大切に猪飼野村の古寺として、皆様の心の拠りどころとして、
法灯を守って参りたい事でございます。
三月の行事
9 日(木)午前10時半〜ピラティス
12日(日)午後1時〜 おみがき清掃ご奉仕
18日(土)午後2時〜 春季彼岸永代経法要
ご講師 伊勢道浄寺 酒井正夫師
23日(木)午前10時半〜ピラティス
25日(土)終日 ご本山慶讃法要団体参拝
四月の行事
13日(木)午前10時半〜ピラティス
15日(土)午後2時〜祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 島章師
24日(月)午前10時半〜ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染がさらに
拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
posted by ansenji at 21:11| Comment(0)
| 法悦